福島県・磐梯山の中腹に建つホテルの第2期計画である。最初の計画(2009年)が完成して早10年の時が経つ。
ホテルの活動開始後の2年目に東日本大震災が起き、施設に大きな損害はなかったもののこの一帯も福島原発事故の風評を受けて、しばらくは人の気配の乏しい日々が続いた。でも幸いに多くの再訪の人たちにも支えられ、評判も少しずつ上向いて今回の第2期計画の時を迎えることができた。
第1期計画は、保護施設としてあった既存の本体をもとにその全体のシルエットや骨格を引き継ぎながら、敷地一帯の環境と居場所との応答のかたちを再度読み直して増築部を加え、既にある骨組みを纏うように、そこに新たなホテル空間を拓いたものである。既存建物に刻まれた当初の構成意図とそこに重ねる新たな計画視野の交錯。新築の取組とは異なる経験の中で、持続する時間を受け継ぐ建築の働きに思いが向いた。
この第1期後のしばらくの観察を通して、今回の取り組みも個々の場の設えを工夫する以前に、一帯の環境をここを訪れる人たちの経験にいかに新鮮に結ぶかを主眼に置いた。空間による視界の枠取りや開き閉じを通して一帯に散在する風景の中から隠れた特色を拾い出し、そこにもうひとつの視界や風景の紡ぎだすこと。それが建築の果たせる役割であろうかと考えた。
最初の本館部は岳地側が建つ。その上階の客室からは遠く吾妻連峰の山容や磐梯山の頂が望まれる。これに対しての今回の増築部は、敷地内の隠れて見え難かった湖沼に沿う場所に配置し、その新しい建屋が旧館からの視界を妨げることのないよう低地側に低く沈ませる構成を取った。もとの自然地形に沿うこの配置を通して、もうひとつの特色ある風景との結びが得られるように思う。
こうした環境との関わりを考える上で、内部の設えの大切さはいうまでもない。内に安息の居場所がなければ、一帯の風景を感受する心は開かれない。その点で客室ほかの内部デザインを、それぞれの場所ごとの外部風景との関わりを見据えながら居場所の重心を探り、強く主張することのない自然素材と白を基調として、落ち着きある空気感が得られるように心がけた。
益子義弘
ホテリ・アアルト近くの国立公園の中に建っていた、小さな三角屋根の別荘をアアルト・ロッジとして再生。ここにいると、まるで自分も森に包まれているような自然のやさしさを感じます。耳を澄ますと小鳥のさえずりが聞こえ、四季折々の森の風景に癒されて。 横たわる時間に、くつろぎや、ぬくもりを添えてくれる、大人のための場所。
ふたりが豊かに暮らすことができる空間。貸別荘的用途であるため4人まで宿泊が可能。ベットルームを1階に配置し、リビングとダイニング、キッチンの機能を持つフリースペースが2階。限られたスペースの為、キッチンはコンパクトにし、造りつけのテーブルをはめ込んで、必要十分だけど無駄のない絶妙な空間になっている。
ラボットプランナーについてのご相談は
下記フォームよりお問い合わせ下さい。